ストレスからの逃げ場所

他者に対する優越的な姿勢や、理解されにくい存在という思いの背景には、子ども時代に親から見捨てられるといった悲劇の記憶があり、他人には理解できない苦しみや孤独感を経験しているという思い込みがある。この″見捨てられた記憶″は、なんらかの事情で親戚の家に一晩だけ預けられたとか、雑踏の中で迷子になりそうになったといった、他のタイプなら″見捨てられた″とは考えないようなありふれた体験である場合が多い。また優越感や特異性への「囚われ」は、実はコンプレックスの裏返しでもある。自分を小さい存在であると自覚しているタイプ4は、自尊心が低い。よい趣味やドラマチックなイメージづくり、芸術的な表現は、自尊心を回復するための切実な努力なのだ。ちょっとしたつまずきによって、彼らは、喪失感や自尊心の低下に陥り、引きこもりの状態になる。だからそうした危険性を常に意識し、人生と安全距離を保とうとする。一方、自分の自尊心を傷つけた相手を自分の意識の中でスパッと切り捨てる。ただし相手を無視したり、悪口を言ったり、制裁を加えるのではなく、まるで何事もなかったかのように付き合いながら、存在の価値を無視するのだ。これは、相手を亡きものにしながら、その墓前に花を手向けるようすに例えることができる。こうした行為もタイプ4の自尊心の低さの所産であり、自尊心を守ろうとする願望の表われと言える。

 

常に悩みを抱いて生きてきたタイプ4は、苦悩する人々と適切に接することができ、同情心に厚く、他人の感情の機微を的確に把握する。彼らは、悩みを抱えた人間への助力を好み、相手が元気になるまで辛抱強く支える。

 

常に感動することを渇望しており、喜怒哀楽、いずれの感情にしても強烈に意識されるとき、生きている実感を味わうことができる。また生や死、性、心理の暗部などに深い興味をもち、そうした激しいテーマと対峙する人間に魅力を感じる。 一方で社交的で軽やかな交際といった深い部分でのつながりが期待できない付き合いを好まない。一方、タイプ4は、頻繁に鬱状態になり、″あのときああしていれば……″と過去の過ちを悔い、自分の殻に閉じこもる。ただし鬱という暗い感情を忌み嫌うのではなく、心のひとつの状態として素直に受け容れ、理解している。中には過剰に活発になることで、鬱状態を跳ね返そうとするタイプ4もいるが、多くは、鬱状態を味わおうとする。彼らにとって、鬱な状態こそが、人間の暗部を探索するチャンスなのだ。鬱状態を、喪失感や苦悩が生み出すストレスからの逃げ場所と受け止めるタイプ4も多い。